3章 声部進行の原則
和声進行
ある和音の次に別の和音が来ること。また、その連続が統制されていて、一定の秩序を持っていること。
機能......調性の中に於けるその和音の位置づけ。基本的に根音の音階音度によって決まる。
(クラシックでの)根音の続き方(厳格な規則ではない)
Ⅰ
普通は Ⅳ Ⅴ
ときに Ⅵ
まれに Ⅱ Ⅲ
Ⅱ
普通は Ⅴ
ときに Ⅳ Ⅵ
まれに Ⅰ Ⅲ
Ⅲ
普通は Ⅵ
ときに Ⅳ
まれに Ⅰ Ⅱ Ⅴ
Ⅳ
普通は Ⅴ
ときに Ⅰ Ⅱ
まれに Ⅲ Ⅵ
Ⅴ
普通は Ⅰ
ときに Ⅳ Ⅵ
まれに Ⅱ Ⅲ
Ⅵ
普通は Ⅱ Ⅴ
ときに Ⅲ Ⅳ
まれに Ⅰ
Ⅶ
普通は Ⅰ Ⅲ
ときに Ⅵ
まれに Ⅱ Ⅳ Ⅴ
和音進行の種類分け
4度5度......1つの音を共有し、比較的強い進行である。
3度6度......2つの音を共有しするため変化が少なく、比較的弱い進行である。
2度7度......共有する音が無いため和声的に豊かである。2度進行の強さはものによって差がある。
和音連結の通則
通則1 共通音がある場合はそれを同じ声部で反復し、残りの声部は次の和音の最も近い音へ進む。
通則2 共通音が無い場合はバスと上3声(ソプラノ、アルト、テノール)がそれぞれ逆方向に、出来るだけ近い音へ進む。
通則の限界
和音連結の通則を守っただけの曲は寧ろ音楽的に退屈であるため、時には通則から逸れ、音楽的な面白みを求めることも重要である。
ソプラノ音を自由に動かすために
開離位置と密集位置を選ぶことはソプラノ音の自由度に寄与する。
第3第5音の重複も有効である。
時には第5音を欠いた3和音を用いることも有効である。この場合は根音を3声部で重複し、1声部で第3音を鳴らすのが普通。
第3音を省略すると空虚5度という好ましくない響きが生まれるため、控えた方が良い。
クラシック含む豊かな響きを求める音楽での話です。ジャンルによってはパワーコードみたいな手法もあります。
旋律の進行
進行の種類
順次進行......旋律が2度で動く。
跳躍進行......旋律が3度以上の音程で跳んで動く。
順次進行を主体として、変化を付けるために跳躍進行を賢明に使用するのがよい。
2声部の動き
動きの種類
反行......2声部が逆方向に動く。
斜行......1声部が静止し、もう1声部が動く。
並行......2声部が同じ方向に動く。
平行......並行において、2声部が同じ音程を保って動く。
声部間の並達
2声部が並行によってある音程へ到達すること。並達8度、並達5度はクラシックにおいて避けられる。
導音の処理
導音が外声(ソプラノかバス)にある場合、それは原則として主音へ2度上行する。
内声(アルトかテノール)にある場合、主音に上行しても、他の音に上行下行してもよい。
クラシックにおいて、トライトーンの使い方には慎重になるべきである。
声部の重なりと交差
声部の重なり
2声部が並行で上行するとき、下声部は上声部が空けた位置よりも高い位置に動かないほうがよい。これは下行の場合にも当てはまる。
声部の交差
ある声部が他の声部の下から上に、あるいはその逆に動くことは、時に耳を混乱させる。
内声での交差にそれほど害はない。
進行規則の要約
1.完全5度8度1度の平行はどの声部間でも避ける。外声間では特に注意が必要。
2.2声部間で完全5度8度とその複音程が連続することは好ましくない。
3.2声部の跳躍による完全5度8度への並達は避ける。
4.バスが順次進行しソプラノが跳躍するとき、完全5度8度への並達は避ける。
5.声部の重なりと交差を避ける。
6.曲の終わりを除いて、全声部が同じ方向に動くのは好ましくない。
7.Ⅴ-ⅠやⅤ-Ⅵにおいて、導音が外声にある時は主音に半音上行する。